富山県を拠点とする企業「不二越」のトップが話した、人材に関する意見が話題となっています。
その意見とは「富山県人は閉鎖的なため、できれば採用したくない」といった内容のもの。
個人的にかなり興味がわいたため、この発言について思うところをまとめておこうかと思います。
地元の人間を「閉鎖的」と考えるのは富山だけではない
不二越トップの意見に対し「トップとして不適切」「差別的表現」といった批判が出ています。
一方で、富山出身の人間ほど「正論」「北陸3県全部に当てはまる」など、肯定的な意見が多いのも事実です。
実は私も不二越トップの発言が、少し理解できます。
なぜかというと、富山や北陸3県だけではなく、東北地方の一部などでもこういった考えを耳にすることがあるからです。
また、雪口や寒冷地が閉鎖的な雰囲気、土地柄を持つのは日本に限ったことではありません。
世界的に見ても、気候と住民の気質というのは、関連性があるようです。
やっぱり温暖な気候の地域は、開放的になりがちですし。
ただ、富山は優秀な人材を輩出する土壌があることから、余計に「もったいない」という意識があるのかもしれませんね。
人材流出に対する警鐘か?
こういった「閉鎖的」といわれる地域は、人材流出が激しいのも特徴です。
例えば、小中高と成績の良い子たちは県外の大学に入学し、そのまま首都圏や他地方の企業に就職してしまいます。
進学を機に優秀な人材が流出してしまうわけですね。
県外に出ることである種の「解放感」を感じてしまうのです。
こういった人材流出が続けば、結果的に残るのは地元の気質や思考に染まった人間だけ…となり、人材の多様性の観点から問題が出てしまいます。
これからの企業は「画一的な考え方の人材だけを揃える」リスクを考えなくてはなりません。
モノ造りを担う企業であれば尚更です。閉鎖的で硬直的な場所に、クリエイティビティは生まれませんからね。
つまり、不二越トップの発言は、地方が抱える人材流出という問題に対する警鐘とも考えられます。
そもそも採用活動は差別の塊では?
今回の不二越トップの発言とは裏腹に、不二越自体は出身地方による差別はしないと明言しています。
まあ、こう言うしかないですよね。
ただ、採用活動自体は、そもそも差別の塊ともいえます。
学歴フィルターも、職種ごとの性別、容姿、年齢によるフィルターも、企業が名言しないだけでしっかり存在しますし。
今回はたまたま企業のトップが発言したことでクローズアップされましたが、就活生や転職希望者は小さな差別と日々戦っているわけです。
純粋に仕事能力だけを評価するのは、本当に難しいもの。
それこそ入社後数年が経過しなくては、人材の評価は固まりません。
でも、そんな悠長にかまえていてはろくに人を集められないわけで、採用活動時にフィルターをかけ「多分この中に欲しい人材がいるだろう」と、あたりをつけるわけです。
つまり、小さな差別は採用活動に必要不可欠な要素ともいえます。
不二越トップの発言は、人材採用に対する思い入れが人一倍強いからこその、「本音」だったのかもしれませんね。
ココでもやっぱりシビアな話が...