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【新国立競技場の作業員が過労自殺】時間外労働200時間の実態とは

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新国立競技場工事の作業員である23歳の男性新入社員が、2017年3月に自ら命を絶つという悲しい出来事が起こりました。自殺の直前の男性社員の時間外労働時間は、200時間ほどだったとのこと。

新国立競技場の工事現場では、何が起きていたのでしょうか?

新国立競技場の作業員が自殺する直前の労働時間はどうだったのか

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男性は2016年4月に建設会社に入社後、新人研修を経ていくつかの現場で経験を積んだ後、2016年の12月から新国立競技場工事の現場に配属になりました。

 

そして、翌年2017年3月のある朝に男性から会社に欠勤連絡が入りました。その後男性とは連絡が取れなくなり、4月に長野県内で遺体が発見されました。

 

「突然このような形をとってしまい、もうしわけございません。身も心も限界な私はこのような結果しか思い浮かびませんでした。」

 

というメモが見つかったそうです。
参考元:

headlines.yahoo.co.jp

男性が所属していた会社は、当初男性の時間外労働時間は80時間以内だったと説明していました。しかし、男性の時間外労働時間は、実際は1月に116時間、死ぬ直前の2月には193時間にもなっていたのです。このころになると、男性は午前4時半頃に起床して早朝から出勤し、翌日の0時~1時に帰宅していたと言います。

残業時間が193時間とはどういうことか

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よく残業時間の多さが社会問題になりますが、残業時間が193時間と言われてもピンとこない人も多いのではないでしょうか。実際に一日当たりの仕事時間として考えてみると、過酷な労働が浮き彫りになります。

 

1か月の残業時間が193時間ということは、月に20日働いたとすると1日に9.65時間、25日働いていたのなら一日に7.72時間の残業をしていたということです。8時間働いた後さらに7~8時間働くのですから、朝6時から働いていたなら夜の9時までということになります。

 

そんな過酷な状況が毎日続けば、体力的にも精神的にも追い詰められていくのは当然のことです。

残業時間だけではわからない過酷な労働条件の問題

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このような問題について議論する際に必ず出てくる意見が、

「俺が若い頃は、それくらい働いていた」

「残業時間が100時間を超えるなんて、普通だった」というものです。


しかし、このような労働問題は単に残業時間の長さだけで語られるべきではありません。その社員が置かれたそれぞれの状況を、個別に考えなければならないのです。

 

この男性社員は大学を卒業してから1年も経たないうちに、過酷な現場に投げ出されています。周りに同期と呼べる相談できる相手がおらず、「何とか仕事を終わらさなければ」という責任を一人で背負ってしまったのかもしれません。実際、その年の新入社員は彼一人だったそうです。

 

彼はまだOJT期間中で職場内の訓練中でした。ところが、重機の到着の遅れなどから工事の納期が迫っており、先輩社員たちも仕事が忙しく指導にまで手が回っていませんでした。
まだ十分仕事に慣れていない新入社員にサポート体制もない状態でそんな重労働を課せば、どうなるのかは明白です。

 

新入社員の立場から、彼は「仕事がきつい」などということを上司に言うことはできなかったでしょう。そして、一人で悩みを抱え込んでしまい精神的にも体力的にも追い詰められたはずです。誰だってそんな状態では、正常な判断などできなくなってしまうに決まっています。

このように、労働問題に悩んでいる若者たちには、それぞれ悩みの内容は異なります。それをどうフォローして育てていくか、ということを企業はしっかりと考えなければいけないのです。

まとめ

過重労働の問題は、「新たに人を雇えばいい」「残業をなくせ」などという小手先の対応で簡単に解決できるものではありません。

しかし、未来がある若者たちを過重労働でつぶしてしまうことがないように、企業と社員が一丸となって考えていかなければならない問題であることは間違いないでしょう。

 

東京オリンピック絡みのことはホントにゴタついてますな...

b.hatena.ne.jp