区役所や市役所などの職員になるためには、知識を問う教養試験を突破しなければならないのが普通で、学歴も重視されます。
ところが、大阪府守口市では平成29年度の採用試験から、学歴は一切不問、一次面接で全員と面接を実施し、教養試験はすべて廃止する、という公務員試験としては画期的な試験方法に変えました。
このような方針の試験が行われた場合、どのような人が得をし、どのような人が損するのかを考えてみました。
学歴不問・人物重視面接で得するのは?勉強は苦手だけど仕事はできる人
守口市の採用試験では社会科学、人文科学、自然科学などの知識を問う教養試験が一切なくなりました。
ということは、勉強ができなくても人事担当者が「この人は良い」と思えば、採用される可能性がある、ということです。
そもそも、教養試験を行う目的は、
・最低限の教養を備えているか問うため
・今までまじめに勉強をしてきたかを見るため
・足切りのため
ということ。
しかし、これらの目的のために、本当に仕事ができる優秀な人材を採用できないのでは本末転倒です。
仕事ができる優秀な人材は勉強もできるという意見もありますが、人柄や仕事の手腕の有無はほとんど勉強とは直接関係はありません。
勉強は苦手だが効率よく仕事をすることができる
コミュニケーション能力が高く接客能力に長けている
などという人材は、公共サービスを運営する職員として良い仕事ができるはずです。
「仕事ができる自信があるのに、勉強が苦手なせいで公務員になれない!」という人が、得をすることになるでしょう。
学歴不問・人物重視面接で損するのは?勉強をコツコツ頑張ってきた人
では、学歴不問・人物重視の面接で損をするのはどのような人たちなのでしょうか?
それはズバリ、勉強をコツコツとまじめに頑張ってきた人です。
公務員試験は教養試験が重視されてきていました。ですから、ある意味勉強だけ頑張れば公務員になれるという部分があったのです。
ところが、教養試験が一切ない試験では、自分の人柄や仕事ができるところをアピールしなければなりません。これは、勉強を頑張ってきた人にとっては、つらいことでしょう。
しかし、そもそも
「勉強だけができるだけでは困る。人柄が良く、仕事ができそうな人がほしい」
というのがこのような試験方法に変えた本来の目的だと思われます。ですから、当然と言えば当然の結果なのかもしれません。
これからは、「勉強だけできても仕方がない」という時代が来るかもしれませんね。
まとめ
学歴不問・人物重視の採用試験、とても面白い試みですね。
新しい試みが始まったばかりですから、これからどうなるのかはわかりません。
今まで教養試験重視で採用されてきた職員たちが人物重視の採用面接を実施できるのか、人物重視試験で入社してきた新入職員たちを上手く使えるのかなどという課題も残ります。
しかし、人物重視の試験が浸透していくことで、「お役所仕事」などと言われてしまいがちな市民サービスが変わっていくかもしれませんね。
そのうちお役所もこんなことやりだしたりして...